3月の半ば、当道場で新型コロナウイルス感染症の流行が起こってしまいました。
私、伊藤隼一郎指導員、他数名が感染。
とくに伊藤指導員は22日に秋田大学大学院の修了式、その二日後には三段の昇段審査会を控えた、大事なときでした。
私の師匠は昇段審査前の一週間、「道場閉鎖」を命じました。
大ピンチ!
その後伊藤指導員は陰性となった体で無事修了式に出席、その当日すぐに稽古再開。
昇段審査の前日も稽古して、翌日の本番に臨みました。
審査担当は私の師匠「武産塾合気道修練道場」の横山清一師範。
三段という段位は、昔「免許皆伝」と言われた段位です。
受験資格日数が足り、審査料を払えば受検できる容易な段位ではありません。
伊藤さんは審査前、「6年間秋田で過ご
した思いを込めて、全力でやります」と言いました。
その言葉通り、厳しい横山師範が要求する技を次々とクリア。
最後の武器技演武は、組太刀五本、組杖十本すべてやり通しました。
名古屋から来秋した彼の母とともに、あやうく涙が出そうになりました。
三段の審査は他にもう一名おりました。
秋田大学合気道部OB十代主将の斎藤渉さんです(私の大先輩です!)。
伊藤さんとは親子以上の年齢差です。
二段を允可されてから実に四十年ぶりの昇段審査。
就職後は合気道から離れていたのですが、6年前「このまま何もせずにいたくない。やるぞ!」と稽古に復帰。
学生の頃は大学の稽古だけでなく師の専門道場にも通っていた斎藤先輩。
座り技、半身半立ち、多人数掛と呼ばれる一対三人の技など、「どんな膝しているんだろう?」と思うぐらいの素早い体捌きでした。
審査直前に道場閉鎖を余儀なくされて切迫した状況だったというのに、私がコロナ感染症で体調を崩していると聞いて「前向きにいきましょう!」と逆に私をメールで励ましてくれました。
人として、こうありたいと思う大先輩です。
今回の昇段審査会は、今まで経験したことがない大ピンチでした。
しかし審査会当日は気持ちの良い快晴、清々しく終えることができました。
受検したお二人の人徳による清々しさだと感じました。
伊藤さんは社会人として次のステップを踏むことになります。
斎藤先輩もすでに次の目標を立てておられます。
私もこの二人に負けじと、今後も目標をもって前進します!
無事にこの日を終えられたこと、受験者のお二人をはじめ横山師範、他皆様、感謝申し上げます。
受検者のお二人、合格おめでとうございました!
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